キャリアアップ助成金を利用した企業型DCの導入ガイド

企業型DC(企業型確定拠出年金)は従業員・役員の老後資金形成を支援するために有効な制度で、掛金、運用益、受給時に税制上の手厚い優遇措置があります。近年、新NISAの開始等に伴い投資に対する注目が高まる中で、企業型DCの導入が大企業だけでなく中小企業の間でも加速しております。
また、キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者のキャリアアップを支援するために設けられた国の助成制度です。あまり知られていませんが、実は企業型DCを導入する際に、このキャリアアップ助成金が活用できるケースもあります。

そこで今回は、企業型確定拠出年金(企業型DC)の導入に際し、キャリアアップ助成金を最大限に活用する方法を詳しく解説します。

経営者さん

最近、中々人が確保できず悩んでいます。
知り合いの経営者が、企業型確定拠出年金(企業型DC)を導入してから人が採用しやすくなったようです。
企業型確DCとはどのような制度なのでしょうか?

DCに詳しい「恵寿比愛」さん

高校の授業でも投資の教育が始まったこともあり、NISAやiDeCoと並び企業型DCも注目されている制度の1つです。企業型DCは今までは大企業を中心に広がってきた制度ですが、最近は従業員が数人の小規模企業でも導入されています。

経営者さん

小規模企業でも導入ができるのはありがたいですね!

DCに詳しい「恵寿比愛」さん

はい、また、導入時に条件をクリアしていれば助成金が使える可能性もあるので、その辺りも含めて説明します。

経営者さん

助成金も使える可能性があるのは魅力ですね、
ぜひ、詳しく聞かせてください!

目次

企業型確定拠出年金制度の概要

企業型DCは、企業が従業員のために設ける年金制度で、企業が拠出金を毎月積み立て、従業員自身がその運用方法を選択して資産を増やしていく仕組みです。

この制度の特徴は、企業が毎月一定額を拠出することにあり、将来支給される年金額が運用成果によって変動する点が挙げられます。従業員は、運用の選択肢として定期預金や年金保険、多数の投資信託から選ぶことができ、長期的な資産形成が可能です。
なお、企業が拠出する掛金の額はは勤続年数や役職別等、企業に対する貢献などに応じた様々な定義が可能です

企業型DCは、従業員の退職後の生活資金の充実を図るためのものであり、企業側にも税制上の優遇措置があるため、双方にとってメリットのある制度です。
また、加入者は自分のライフプランに応じて運用商品を選べるため、自身でリスクをコントロールしながら資産を成長させることが可能です。
このように、企業型DCは、企業と従業員が協力して将来の経済的安定を図るための重要な手段として注目されています。

企業型DCのメリット

企業型DCは、企業と従業員が共同で将来の資産形成をすることを支援するための制度であり、多くのメリットがございます。

企業にとっては、従業員の福利厚生の充実を図ることができる点が挙げられます。
この制度を導入することで、優秀な人材の確保や定着率の向上に寄与する可能性があります。
また、企業の掛金や費用は損金算入が可能であるため、税制上のメリットも享受できます。

一方、従業員にとっては、自分の将来の資産形成を計画的に行うことができるという点が大きな魅力です。
企業型DCでは、個々の投資信託などから自分のリスク許容度に応じた運用が可能です。
さらに、掛金は非課税枠で積み立てられるため、税制上の優遇措置を受けることができます。
このように、資産運用に関する知識を深めながら、老後の資金を効率的に蓄えることが可能になります。

また、離職や転職後にも個人型確定拠出年金(iDeCo)や転職先の企業型DCに移管することができるため、
資産形成が途切れることなく継続できる点もメリットの一つです。
この柔軟性により、ライフスタイルやキャリアの変化に対応しやすくなっています。

総じて、企業型確定拠出年金制度は、企業と従業員の双方にとって、経済的なメリットと将来の安心を提供する有益な仕組みといえます。

キャリアアップ助成金の概要

厚生労働省は非正規雇用労働者の待遇改善などを進めておりますが、特に中小企業にとって処遇改善などに対する負担の増加は決して軽いものではありません。
キャリアアップ助成金は、そんな非正規雇用労働者のキャリアアップを支援するために設けられた国の助成制度です。
この制度は、労働者の職業能力の向上や雇用の安定を図ることを目的としています。
キャリアアップとは具体的には、企業が非正規社員を正社員化したり、処遇改善の取り組みを実施することで、その費用の一部を助成する仕組みとなっております。

キャリアアップ助成金では、正社員化コースが代表的なコースですが、その他にも賃金規定等共通化コース、賞与・退職金制度導入コースなどの処遇完全支援に関するコースも用意されています。
各コースには、それぞれ異なる要件と助成内容が設定されており、企業は自社の状況に応じて最適な支援を受けることが可能です。

キャリアアップ助成金を活用することで、企業は人材育成の負担を軽減し、労働者のスキルアップを促進することができます。
また、非正規雇用から正規雇用への転換を推進することで、働く人々の雇用の安定と生活の質の向上を支援します。
これにより、企業は優秀な人材を確保し、組織全体の競争力を高めることが期待されます。

キャリアアップ助成金は、企業にとっても労働者にとっても有益な制度であり、社労士などの専門家に相談しつつ活用をご検討ください。
制度の詳細や条件については、厚生労働省のウェブサイトや地域の労働局で確認することができ、申請にあたっては、各コースの要件を十分に理解し、適切な準備を行うことが重要です。

(詳しくは、厚生労働省サイト「令和6年度キャリアアップ助成金」をご参照ください)

キャリアアップ助成金を活用するメリット

キャリアアップ助成金を活用することで、企業は従業員のスキルアップを促進し、労働市場での競争力を高めることができます。キャリアアップ助成金には、正社員化コースや賃金規定共通化コース、賞与・退職金制度導入コースなどがあり、企業はこれらを通じて柔軟な労働条件の改善が可能です。

特に、非正規雇用者を正社員に転換することで、企業は長期的な人材育成の基盤を築くことができ、従業員の定着率を向上させることが期待されます。さらに、賞与や賃金規定の見直しを行うことで、従業員のモチベーションを高め、職場環境を改善することが可能です。

キャリアアップ助成金を活用する際、制度の条件を正確に把握し、適切な申請手続きを行うことが必要です。
また、企業が一定の基準を満たす必要があり、これを通じて社内のコンプライアンス体制や労働条件の透明性が向上することも期待できます。
これらの支援を最大限に活用し、企業の成長と発展を促進することが重要です。

企業型DCにおける助成金の活用

キャリアアップ助成金は、上述の通り、企業が従業員の処遇改善をした際にも受け取れる助成金です。
企業型DCにおいても、この助成金を有効活用することができます。
具体的には、キャリアアップ助成金の処遇改善支援の賞与・退職金制度導入コースを利用することができます。

キャリアアップ助成金の賞与・退職金導入コースは、すべての有期雇用労働者等に関して、賞与・退職金制度を新たに設け、月3,000円以上を6か月分、支給・積み立てを実施した際に受給できる可能性があります。

受給額は、中小企業で40万円、大企業だと30万円となっており、企業型確定拠出年金の導入費用の負担を軽減することが可能です。

※中小企業の定義は以下の通り

小売業(飲食店を含む)資本金5,000万円以下または従業員数50人以下
サービス業資本金5,000万円以下または従業員数100人以下
卸売業資本金1億円以下または従業員数100人以下
製造業その他の業種資本金3億円以下または従業員数300人以下

(最新の情報は、厚生労働省サイト「キャリアアップ助成金のご案内(令和6年度版)(パンフレット)」などをご参照下さい)

まとめ

今回は、企業型DCの概要とメリット、さらに導入に際して活用できる助成金、キャリアアップ助成金の概要を説明いたしました。
企業型DCは従業員・役員の退職後の資金形成を支援するために有効な制度制度です。人材の確保が益々難しくなる中、老後への備えを企業が準備してあげることで人材確保にもつながる本制度の加入を是非ご検討ください。

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この記事を書いた人

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